2014年02月12日

鍼工場見学

2月11日、愛知県鍼灸専門師会の鍼工場見学ツアーに参加しました。
見学場所は、静岡市清水区のセイリン株式会社
7時50分に金山総合駅に会員27人が集合。マイクロバスで静岡に向かいました。
11時からセイリン工場近くの武蔵で早めの昼食。天ぷら定食、刺身定食、まぐろ漬丼の中から選べたのですが、私はまぐろ漬丼を食べました。ご飯よりもまぐろが多いくらいで、同じものを選んだ先生方も満足しておられました。

そしていよいよセイリン本社へ。
社名は、清水のセイと、創業者であり現会長の鈴木毅氏の鈴を取ってつけられたそうです。
鍼を作る工程をパワーポイントで説明されたのですが、鍼の元になるステンレス鋼線や、直線加工をした段階の美容鍼に使う細い糸のような接断前の鍼にも触れさせていただくことができました。
その後バスで清水工場に移動。
組み立てラインは、人の手が製品に触れることのないよう、鍼体と鍼柄(リューズ)の組み立て、鍼管の溶着、包装、箱詰めまでロボットがしていました。
また、不良品がないか、異物が混入していないかも、ロボットが厳しく検査していました。
ブリスター包装(錠剤やカプセルのように、裏紙をはがすと中身が出てくるような作り)の裏面には、一本ごとにロットナンバーと使用期限が印字され、四年間ロッカーにサンプルが保存されているため、何か問題が発生したときにはすぐに対処できるそうです。
私が工場見学をさせていただいて最も驚いたのは、一本ずつ包装し、箱詰めしてからエチレンオキサイドガスによる滅菌をするということ。治療直前に箱から鍼を取り出すまでは、一切人の手に触れることはありません。
パッケージの裏紙が編み目状になっているため、エチレンオキサイドガスは通り抜けて鍼を滅菌することができますが、外から細菌やウィルスが入り込むことはできないそうです。そして、ガスは滅菌後は排出されるので安全です。
ただし、この編み目は水に弱いので、手指を消毒するときにエタノールをこぼしてしまい、かかってしまったような場合は使わないほうがよさそうです。
水に触れなければ、四年間は細菌やウィルスは入り込まないそうです。

よく患者さんから「先生のところの鍼は感染の心配はありませんか?と質問されます。私はその度に「患者さんに鍼を通して感染する可能性よりも、私たち鍼灸師のほうが感染の危険性が高いですよ。私は、患者さんのためというよりは自己防衛のために、コストはかかっても安全な鍼を使用しています」とお話しています。

セイリンは国内トップシェアを誇る使い捨て鍼メーカーです。
しかし、十年くらい前までは、セイリンの鍼管には切断面に角があり、皮膚に当てるとストローが当たっているような感じでした。一時ガラス鍼管のタイプもありましたが、鍼先も今のように丸みはなく、痛みを感じていました。
まあ使い捨てだから仕方ないかという感じで使ったこともありました。
そのため、ひらせ鍼灸院では、五年くらい前までは高価ですが職人が一本一本手作りしていると言われている使い捨てではない鍼を、使い捨てとして使用してきました。

しかし、セイリンの鍼は進歩し続け、刺入するときの痛みも少なくなってきています。また、鍼先からもより微細な情報が伝わりやすいよう改良されてきているように感じています。
「かゆい所に手が届く」といった施術ができるようになりました。
鍼を刺入すると、鍼先から内部の状態が私たち治療家の手に伝わってきて、血液の流れをよくしたり、神経の興奮を緩和したり、筋肉をほぐしたり、逆に緊張感を持たせたりして身体を整えます。鍼先から伝わってくる情報が多ければ多いほど、よい治療ができます。

セイリン工場を見学させていただき、改めてこれ以上に安心、安全で使いやすい鍼はないことを実感できました。

工場見学の後、質疑があったため、私は「撚鍼なので、鍼管がない鍼を作ってもらえないか」とお聞きしたところ、海外向けにはあるけれど、太い鍼しか需要がないため、国内向けには作っていないということでした。
また、点字表記が「すん3 2 ばん」のようになっているので「すん3 2番」のように続けて書いてほしいと要望してきました。

その後、清水魚市場おさかなセンターでお土産を買って、午後6時に名古屋に戻ってきました。
行きも帰りもバスの中ではビンゴゲームやクイズをし、私はセイリンのパイオネックス(置き鍼)300本をGET!パソコンの画面から目を保護するメガネも当たったのですが、スマホを持っていないという先生が当たったスマホ用イヤホンマイクと交換しました。
posted by 平瀬 徹 at 09:43| Comment(0) | 鍼灸治療

2009年12月07日

心筋梗塞のおばあちゃんのお見舞いに行ってきました

一昨日の夜、おじいちゃんに電話したら、火曜日には退院できそうとのことでしたが、やっぱり直接お会いしたいと思い、昨日の午後母と行ってきました。
病室を尋ねようとナースステーションに行こうとしたら、ロビーでいつものおしゃべりのおばあちゃんが迎えてくれて、ひと安心!
四本目の鍼を刺したところで意識が飛んで「なぜ救急車?いつもと同じように鍼をしてもらうためにベッドに上がったところなのに」と思ったそうです。
「あと5分病院に着くのが遅れていたら、危篤状態になっていたかも」とお医者さんに言われたそうです。
「昨日は日曜日なのでリハビリがお休みなので、許可を得て病室とロビーの間を何度も行ったり来たりしているんですよ」とおっしゃっていました。

ヘルペスの患者さんも無事退院されましたが、お子さんもいらっしゃるし家事もあるので、安静にはしていられないようです。

お二人とも、早く完治していただけるようお祈りしています。
posted by 平瀬 徹 at 11:22| Comment(1) | 鍼灸治療

2009年11月23日

寿命が縮む思い

患者さんの個人情報になるので詳しくは書けませんが・・・・・
おしゃべりがお好きで、治療室のドアを開けてからお帰りになるまで、ずっとお話なさっている元気なおばあちゃん。
一昨日、突然おしゃべりがやんだので、おかしいと思ってお声をかけるも、「ううーん」とおっしゃるだけ。
鍼灸院を開業以来、初めて患者さんのために救急車を呼びました。
ちょうど妹がいたので、妹にバイタルチェックをしてもらいながら救急隊に容態を電話で説明することができました。
父のときもそうでしたが、救急車から詳しい容態についての電話がかかってきます。一人でバイタルチェックや人口呼吸などしながら電話に出ることはできません。
お医者さんの診断結果は、心筋梗塞。
坐骨神経痛の治療のため来院されていましたが、高血圧の持病があるということは、おしゃべりなのに全然おっしゃって下さいませんでした。
私は、話に乗せられるだけで、肝心な問診が抜けていたことを反省しています。
おばあちゃんは、おじいちゃんと二人暮らし。おじいちゃんにも持病があって、老老介護です。
「意識が遠のいたのがおじいちゃんと二人のときや道端でなくてよかったね、と妹とホッと胸をなで下ろしました。

昨日、白杖を買いに行くために外出中、患者さんから頭痛についての相談メールが届きました。
しかし、普通の頭痛ではないようなので、救急外来への受診を勧めました。
私が想像していたとおり、ヘルペスが頭痛を引き起こしていたようです。
ヘルペスは、唇にできる熱の吹き出や水痘(通称みずぼうそう)ならそんなに心配ないと思いますが、脳に入ると生命の危険を伴うこともあります。
私は伯母をヘルペス性脳炎で亡くしていますし、以前も首に発疹がある患者さんにお医者さんに行っていただいたところ、即入院になったことがあります。

鍼灸マッサージ治療は万能ではありません。
きちんと患者さん一人一人の病状を把握し、必要なら専門医の受診を勧めることの大切さを、改めて痛感した二日間でした。
posted by 平瀬 徹 at 10:21| Comment(3) | 鍼灸治療

2009年08月18日

鍼の師匠が亡くなっていました

このところ明るい話題が少なくてすみません。

私が盲学校を卒業後、二年間勤務させていただいた鍼灸院の院長、松尾敏彦先生がお亡くなりになっていました。昨夜9時前、連絡を頂き、お通夜に行ってきました。

10日の午前中まで患者さんを治療した記録は電子カルテに残っていたそうですが、15日、従業員の方が出勤されて、お亡くなりになっていたことが判ったそうです。
日めくりを前日中にめくり、ベッドのシーツを取り換えてからシャワーを浴び、お酒をたしなまれる毎日だったそうですから、10日中に心臓発作か何かで息絶えたのだろうということです。享年55歳、若すぎる孤独死でした。。

私は学生時代、脈診流の鍼にはまっていましたので、現代医学的な鍼治療には全く興味がありませんでした。
しかし、二人の恩師から「私の顔を立てて、面接に行ってくれないか」と言われ、ホワイトクリスマスの中、一人の恩師に連行されるような形で出かけました。
その夜、松尾先生から「悪いけど平瀬君のこと、いろいろ調べさせてもらいました。こちらとしては全く異存ありません。就業規則を送りますので、よく考えてご連絡下さい」という電話を頂いてしまいました。
今までお世話になった脈診流の先生方を裏切るようなことにもなるので、悩みました。
でも、月給制でボーナスも有給もあり、研究会に参加すれば交通費も参加費も半額負担してもらえる、パソコンも勉強できそうだ、何よりも松尾先生の人間性や行動力に魅せられて、就職を決めました。
松尾先生はとてもよく勉強される方でしたので、帰宅しても「疲れた」と言っている暇はありませんでした。
休日も勉強会や業界の親睦会への参加を余儀なくされました。そのため、デートができず、彼女にふられてしまった・・・・・ということもありましたが。
他の鍼灸院ではきちんと治療を受けられなかったという患者さん、癌やリウマチなどの患者さんもたくさん診せていただきました。
三〜五年は勉強させていただきたいと思っていましたが「今開業しないとだれか近くで開業するから、自宅ではできなくなるよ」と言われ、二年勤めた後開業しました。松尾先生が調査して下さったとおりでした。
ちょうど市営住宅が平屋から高層に立て替えされる時期で、引っ越して行かれる方、引っ越してこられた方両方の患者さんに来ていただくことができました。
松尾先生がタイミングを教えて下さったおかげで、私は自宅で開業することができました
松尾先生のところで働かせていただき、難しい患者さんをたくさん診せていただいたおかげで「他の鍼灸院では治らなかった」とおっしゃった患者さんにも満足いただく治療ができているように思います。
まだまだ松尾先生にはとても及びませんが、これからも学術ともに研鑽を積み、患者さんに喜んでいただけるような治療をさせていただきたいと思います。
松尾先生、どうか安らかにお眠り下さい。
                                     合唱
posted by 平瀬 徹 at 09:42| Comment(0) | 鍼灸治療

2009年08月13日

新しいオートクレーブ

オートクレーブのボタン
点字表示があって感激!
でも、最初スタートボタンとストップボタンが一緒だということが判りませんでした。
他のボタンにも点字表示が欲しいし、説明書も点字のを用意してほしいです。
posted by 平瀬 徹 at 11:09| Comment(0) | 鍼灸治療