2月11日、愛知県鍼灸専門師会の鍼工場見学ツアーに参加しました。
見学場所は、静岡市清水区のセイリン株式会社。
7時50分に金山総合駅に会員27人が集合。マイクロバスで静岡に向かいました。
11時からセイリン工場近くの武蔵で早めの昼食。天ぷら定食、刺身定食、まぐろ漬丼の中から選べたのですが、私はまぐろ漬丼を食べました。ご飯よりもまぐろが多いくらいで、同じものを選んだ先生方も満足しておられました。
そしていよいよセイリン本社へ。
社名は、清水のセイと、創業者であり現会長の鈴木毅氏の鈴を取ってつけられたそうです。
鍼を作る工程をパワーポイントで説明されたのですが、鍼の元になるステンレス鋼線や、直線加工をした段階の美容鍼に使う細い糸のような接断前の鍼にも触れさせていただくことができました。
その後バスで清水工場に移動。
組み立てラインは、人の手が製品に触れることのないよう、鍼体と鍼柄(リューズ)の組み立て、鍼管の溶着、包装、箱詰めまでロボットがしていました。
また、不良品がないか、異物が混入していないかも、ロボットが厳しく検査していました。
ブリスター包装(錠剤やカプセルのように、裏紙をはがすと中身が出てくるような作り)の裏面には、一本ごとにロットナンバーと使用期限が印字され、四年間ロッカーにサンプルが保存されているため、何か問題が発生したときにはすぐに対処できるそうです。
私が工場見学をさせていただいて最も驚いたのは、一本ずつ包装し、箱詰めしてからエチレンオキサイドガスによる滅菌をするということ。治療直前に箱から鍼を取り出すまでは、一切人の手に触れることはありません。
パッケージの裏紙が編み目状になっているため、エチレンオキサイドガスは通り抜けて鍼を滅菌することができますが、外から細菌やウィルスが入り込むことはできないそうです。そして、ガスは滅菌後は排出されるので安全です。
ただし、この編み目は水に弱いので、手指を消毒するときにエタノールをこぼしてしまい、かかってしまったような場合は使わないほうがよさそうです。
水に触れなければ、四年間は細菌やウィルスは入り込まないそうです。
よく患者さんから「先生のところの鍼は感染の心配はありませんか?と質問されます。私はその度に「患者さんに鍼を通して感染する可能性よりも、私たち鍼灸師のほうが感染の危険性が高いですよ。私は、患者さんのためというよりは自己防衛のために、コストはかかっても安全な鍼を使用しています」とお話しています。
セイリンは国内トップシェアを誇る使い捨て鍼メーカーです。
しかし、十年くらい前までは、セイリンの鍼管には切断面に角があり、皮膚に当てるとストローが当たっているような感じでした。一時ガラス鍼管のタイプもありましたが、鍼先も今のように丸みはなく、痛みを感じていました。
まあ使い捨てだから仕方ないかという感じで使ったこともありました。
そのため、ひらせ鍼灸院では、五年くらい前までは高価ですが職人が一本一本手作りしていると言われている使い捨てではない鍼を、使い捨てとして使用してきました。
しかし、セイリンの鍼は進歩し続け、刺入するときの痛みも少なくなってきています。また、鍼先からもより微細な情報が伝わりやすいよう改良されてきているように感じています。
「かゆい所に手が届く」といった施術ができるようになりました。
鍼を刺入すると、鍼先から内部の状態が私たち治療家の手に伝わってきて、血液の流れをよくしたり、神経の興奮を緩和したり、筋肉をほぐしたり、逆に緊張感を持たせたりして身体を整えます。鍼先から伝わってくる情報が多ければ多いほど、よい治療ができます。
セイリン工場を見学させていただき、改めてこれ以上に安心、安全で使いやすい鍼はないことを実感できました。
工場見学の後、質疑があったため、私は「撚鍼なので、鍼管がない鍼を作ってもらえないか」とお聞きしたところ、海外向けにはあるけれど、太い鍼しか需要がないため、国内向けには作っていないということでした。
また、点字表記が「すん3 2 ばん」のようになっているので「すん3 2番」のように続けて書いてほしいと要望してきました。
その後、清水魚市場おさかなセンターでお土産を買って、午後6時に名古屋に戻ってきました。
行きも帰りもバスの中ではビンゴゲームやクイズをし、私はセイリンのパイオネックス(置き鍼)300本をGET!パソコンの画面から目を保護するメガネも当たったのですが、スマホを持っていないという先生が当たったスマホ用イヤホンマイクと交換しました。
2014年02月12日
鍼工場見学
posted by 平瀬 徹 at 09:43| Comment(0)
| 鍼灸治療
この記事へのコメント
コメントを書く