2012年04月02日

名古屋点訳ネットワーク:災害と点訳についての学習会

4月1日、名古屋点訳ネットワークの勉強会がありました。
午前中は「災害時のボランティア活動」について、名古屋みどり災害ボランティアネットワークの岡田雅美さんにお話していただきました。
その中で私が印象に残ったお話を列挙してみます。

避難所ではなく、自宅で生活しながらボランティア活動をしている中高生は、炊き出しの恩恵を受けられないという現状があり、地元のボランティアのための炊き出しをした。

プールの水はまず足湯に使った後トイレの水洗に使用していた。
食器を洗う水がないので、食器にラップを敷いてよそっていた。
それだけ水は貴重。

工事現場で使用しているような仮設トイレには当然照明はないので、懐中電灯をぶら下げた。車イスが入れるようなバリアフリーのトイレもない。

仮設住宅の内部はバリアフリー仕様でも、入口には段差があったり、お風呂は追い炊きできないなど不便がいっぱい。
仮設住宅は1DK(四畳半)に二人が基本。、押し入れに足を入れたり車内で寝る人も。

野菜を食べたいというニーズに対し、新燃岳から送られた野菜をおひたしや漬け物に。
物も大事、お金も大事。でも、人との関わりはもっと大事。

慣れない地でのボランティア活動は避難経路の確認から。どの方向が高台かも判らない。
率先避難者であること。自分が助からないと人は助けられない。

災害時要援護者は高齢者や障害者だけではない。幼児や妊産婦、逃げる途中で怪我をした人も要援護者になり得る。

水害では、床下に水がたまっていることもあるので、床下収納庫からの水抜きが必要なケースが多い。

AEDの使用法や担架の作り方の訓練も必要だけれど、避難所生活を想定した宿泊訓練も必要。

残念ながら、視覚障害被災者の状況についてのお話はお伺いできませんでした。
「まず声を出してほしい」と言われましたが、気を遣ってニーズを周囲の人たちにも伝えられなかった人が多かったと点字毎日で読みました。
日本盲導犬協会仙台訓練センターが日常の業務をすべて休止し、東日本大震災 視覚障害者支援対策本部に事務所を提供、被災した視覚障害者や家族に入浴サービスを提供したこともご存知ありませんでした。「点字毎日」が、号外を発行し、視覚障害者に必要な情報を届けていたこともご存知ありませんでした。
視覚障害者はトイレに行くにも慣れない所では周囲の人に声を書け、連れて行っていただく必要があります。気を遣ってぎりぎりまで我慢した人もいたことでしょう。
たくさんの人が被災地にボランティアに行かれたと思いますが、障害者や高齢者など、特別な支援が必要な状況にある人のニーズが充分サービスを提供している団体に伝わっていなかったのではと感じました。

民政委員は独居老人に対しては定期的に友愛訪問をしますが、家族と同居している高齢者については役所から情報が届かないので把握できていません。
障害者については、公的な福祉資金を借りるなど当事者側から相談をしないと把握できません。
先日も、障害者医療で鍼灸治療に来院して下さっている患者さんのことで、担当地区の民生委員の方に相談させていただきました。その方はご高齢のお母様と二人暮らしで、お母様も高齢であっても独居ではないので、民生委員の方は把握されていませんでした。
役所は個人情報保護法を盾に情報を出しません。
瓦礫の撤去や炊き出しのボランティアも必要ですが、公的施策の情報が届かない人を見つけて、施策やサービスにに結びつける活動をもっとしてほしいなあと思いました。
最近は組織離れが問題になっていますが、自治会だけでなく、職種別の団体、宗教団体、老人クラブや障害者団体など、組織に所属していれば、各組織を通しても支援や情報が届くと思います。改めて、組織に所属することの大切さを痛感しました。

午後は、「点字愛好者と、点訳ボランティアとのコミュニケーション」、「点訳の学習」をテーマにディスカッションしました。

家電の取扱説明書を点訳しているというボランティアからの発言に対し「えっ?そんなこともお願いしていいんですか」という視覚障害者からの声も出て、ニーズが届きにくい現状があると痛感しました。
地元の視覚障害者とランチしたときに「近くにこんな美味しいお店があったんですか?」と感激されたという話もありました。
保育園の近くで視覚障害者のお母さんに声をかけて、保育園からの通知の点訳をさせていただくようになった、というお話もありました。
「自分が興味がある本を点訳し、せっかくだから視覚障害者にも読んでほしい」というサークルもありました。一方、「一人でも読んでもらえる人があれば、その人のために点訳できるサークルを新たに作りたい」という声がありました。
その他、英語点訳のノウハウ、理数点訳についての情報、漢点字訳についてなどとても充実したディスカッションになりました。
posted by 平瀬 徹 at 11:59| Comment(1) | 福祉・ボランティア
この記事へのコメント
う〜ん、午後も参加したかったです!残念!
この記事で、午前の話を今一度思い出しました。人との関わりが大事なんですね。
Posted by ぴっぴ at 2012年04月02日 22:02
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